夏の葬儀で最も重要なのは、礼服の「素材」です。冬用の礼服は保温性を重視して厚手のウールなどが使われていますが、これを夏に着るのは非常に過酷です。夏用の礼服には、主に「サマーウール」や「ポリエステル」の薄手素材が用いられています。サマーウールは通気性に優れ、独特のシャリ感があるため、肌に張り付かず涼しく感じられるのが特徴です。男性なら長袖の白いワイシャツと黒無地のネクタイ、女性なら膝が隠れる丈のワンピースと黒のストッキング(20デニール程度)が基本です。靴は男女ともに黒の布製または革製で、光沢のないもの。サンダルやカジュアルな靴は厳禁です。持ち物としては、数珠、御香典(袱紗に包む)、白か黒のハンカチ、そして夏ならではの黒い扇子や日傘。また、天然素材ならではの高級感があり、フォーマルな場にふさわしい深い黒色を表現できます。一方、ポリエステル素材の礼服は、シワになりにくく、最近では高い通気性やストレッチ性を持たせたハイテク素材も増えています。特に「ウォッシャブル」機能が付いているものは、葬儀の後に家庭で洗濯できるため、汗の汚れをすぐに落とせて非常に衛生的です。さらに、裏地の有無もチェックポイントです。夏用のジャケットは「背抜き」といって、背中の下半分の裏地が省かれているものが多く、これが放熱を助けてくれます。女性の場合も、袖の部分に裏地がないものや、吸汗速乾性の高い裏地を使用しているものを選ぶと、着心地が格段に変わります。また、色味についても注意が必要です。夏の太陽光の下では、安価な素材だと黒色が薄く見えたり、テカリが出たりすることがあります。葬儀の場では「深い黒」であるほど格式高いとされていますので、夏用であっても濃染加工が施された質の高い生地を選ぶことをお勧めします。こうした素材の知識を持って礼服を選ぶことで、見た目の美しさと機能性を両立させることができ、暑さによる疲労を最小限に抑えることが可能になります。
快適に過ごすための夏用礼服の素材選び