葬儀案内状を作成する際に必ずと言っていいほど直面するのが、句読点を使わないという独特の書法と、忌み言葉を避けるという慣習です。これらには日本の伝統的な死生観と礼節が深く関わっています。まず、句読点、すなわち「。」や「、」を使用しない理由については、諸説ありますが、主に2つの大きな意味があります。1つは、葬儀や法要が「滞りなく」進むようにという願いです。文章を区切る句読点は、物事の停止や中断を連想させるため、儀式がスムーズに完了することを祈って、あえて一文を流れるように書くのです。もう1つは、筆書きが主流だった時代の名残です。古来、正式な公文書や書状には句読点を使わないのが一般的であり、その伝統が最も格式を重んじる葬儀案内状に受け継がれています。現代では印刷が主流ですが、あえて句読点を省き、スペース(全角空け)で文章を調整することで、相手に対する敬意と厳粛な雰囲気を作り出します。次に、忌み言葉についてです。葬儀案内状では「再び」や「重ね重ね」、「再三」といった言葉は絶対に使用しません。これらは不幸が重なる、あるいは繰り返されることを強く連想させるからです。また、「迷う」や「浮かばれない」といった、故人の旅立ちに不安を感じさせる表現も避けるべきです。数字に関しても、「4」や「9」は死や苦を連想させるため、必要以上に強調しない配慮がなされることがあります。さらに、仏式であれば「成仏」や「冥福」という言葉を使いますが、神式やキリスト教式ではこれらの用語は不適切となります。神式では「帰幽」や「奉告」、キリスト教式では「召天」といった各宗教独自の表現を用いることが、案内状としての正しさを保証します。案内状を書くという行為は、単なる情報の伝達ではなく、言葉という「言霊」を用いて、故人の尊厳を守り、遺族の決意を表明する行為です。1800字に及ぶ長文の案内を書く際も、こうした細かなルールの一つひとつに込められた先人たちの知恵を理解することで、より深く、より温かな案内状を作成することができるようになります。慣れない作業に戸惑うことも多いでしょうが、形式を守ることは、そのまま故人への誠実な供養へと繋がっているのです。
葬儀案内状に用いる忌み言葉と句読点の深い理由