忌引き休暇を取得する際、精神的な負担と共にもう一つ気になるのが、「休んでいる間の給与はどうなるのか」という経済的な問題です。忌引き休暇が有給扱いになるのか、それとも無給(欠勤)扱いになるのかは、生活に直結する重要なポイントですが、この答えは法律ではなく、それぞれの会社の就業規則の中にしかありません。まず大前提として、労働基準法には忌引き休暇(慶弔休暇)に関する規定が一切存在しません。これは、忌引き休暇が法律で定められた「法定休暇」ではなく、会社が任意で設ける「法定外休暇」だからです。したがって、会社には忌引き休暇制度を設ける義務もなければ、それを有給とする義務もありません。すべては、会社と従業員の間の約束事である「就業規則」や「労働契約」の内容に委ねられています。一般的には、企業の福利厚生の一環として、多くの会社が忌引き休暇を「有給」として定めています。従業員が安心して弔事に参加できるよう配慮する、という考え方が主流だからです。しかし、特に中小企業や、設立間もない企業などでは、休暇の取得は認めるものの、その間の給与は支払われない「無給」扱いとなっているケースも決して珍しくありません。また、正社員は有給、パート・アルバイトは無給といったように、雇用形態によって扱いが異なる場合もあります。自分がどちらのケースに該当するのかを確認するためには、まず就業規則を読むことが最も確実です。社内のイントラネットで閲覧できる場合や、人事・総務部に問い合わせれば確認できます。もし、自社の忌引き休暇が無給であった場合でも、落胆する必要はありません。その場合は、法律で保障された権利である「年次有給休暇」を代わりに充当することができます。忌引き休暇の申請時に、「年次有給休暇として処理をお願いします」と申し出ることで、給与が支払われる休暇として休むことが可能です。いずれにせよ、「忌引きは有給が当たり前」という思い込みはせず、自社の制度を正しく理解しておくことが、いざという時の経済的な不安を解消するために不可欠です。