四十九日法要は、故人様が仏様として新たな世界へ旅立つための、非常に大切な儀式です。この節目にあたり、私たちは香典という形で供養の気持ちを表すのが一般的ですが、供養の形は決してそれだけではありません。むしろ、様々な形で故人を偲び、ご遺族に寄り添うことが、より深い弔いに繋がります。香典以外の供養の形として、まず挙げられるのが「御供物(おくもつ)」です。これは、故人様の霊前に供える品物のことで、日持ちのする個包装のお菓子や、季節の果物、あるいは故人様が生前好きだったお酒や飲み物などがよく選ばれます。御供物を持参する際は、「御供」と書かれた掛け紙(のし紙)をかけ、水引は黒白や黄白の結び切りを用います。金額の相場は3,000円から1万円程度で、あまり高価すぎるとかえってご遺族に気を遣わせてしまうため注意が必要です。また、祭壇を彩る「供花(きょうか・くげ)」を贈るという方法もあります。四十九日法要では、白を基調とし、淡い紫やピンク、黄色などを加えた、少し穏やかで優しい色合いの花が好まれます。ただし、会場によっては外部からの花の持ち込みを制限している場合もあるため、事前に施主や葬儀社に確認を取るのが賢明です。そして、最もシンプルでありながら、最も心に響く供養の形が、法要の場で故人様の思い出を語り合うことです。会食(お斎)の席などで、「故人とはこんな思い出がありました」「生前、こんな言葉をかけてもらいました」と、参列者それぞれが心の中に持つ故人様との温かいエピソードを分かち合う時間は、ご遺族にとって、故人が今も多くの人々の心の中で生き続けていることを実感できる、かけがえのない慰めとなります。香典という慣習を大切にしながらも、こうした多様な形で故人を思い、ご遺族に寄り添うことが、真の供養と言えるのではないでしょうか。
香典だけではない、四十九日法要での供養の形