葬儀後、ご遺族が直面するのは、多岐にわたる複雑な行政・法的手続きです。これらの手続きにはそれぞれ期限が設けられているものが多く、知らずに放置してしまうと後々不利益を被る可能性もあるため、計画的に進める必要があります。まず、手続きの全体像を把握するために、チェックリストを作成することをお勧めします。大まかな流れとして、死亡届の提出後、「14日以内」に行うべき手続きが最初の関門です。これには、故人が加入していた国民健康保険や後期高齢者医療保険の資格喪失届と保険証の返却、介護保険の資格喪失届、年金受給者が亡くなった場合の年金受給権者死亡届(厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内)などが含まれます。故人が世帯主だった場合は、世帯主変更届も必要です。これらの多くは市区町村役場で一度に行うことができます。次に、「なるべく早く」行うべき手続きとして、公共料金、電話、クレジットカード、各種サービスの契約解除や名義変更があります。これらは放置すると不要な料金が発生し続けるため、速やかに対応しましょう。そして、ここからがより専門的になる「相続」に関する手続きです。まず、故人の遺言書の有無を確認します。相続財産(預貯金、不動産、有価証券など)と負債(借金など)の全体像を把握し、相続人を確定させる「相続人調査」を行います。もし負債が財産を上回る場合などは、死亡を知った日から「3ヶ月以内」に家庭裁判所で「相続放棄」または「限定承認」の手続きをしなければなりません。故人の所得税の申告と納税を行う「準確定申告」は「4ヶ月以内」、そして相続税の申告と納税は「10ヶ月以内」が期限です。これらの手続きは非常に専門性が高いため、司法書士や税理士、弁護士といった専門家の助けを借りるのが賢明です。煩雑な手続きに圧倒されてしまうかもしれませんが、一つ一つ着実にクリアしていくことが、故人が残したものを正しく受け継ぐための大切な務めとなります。
期限に注意、葬儀後の行政・法的手続き完全ガイド