忌引き休暇を終え、職場に復帰する日は、深い悲しみを乗り越えて仕事モードへと気持ちを切り替える、大切な区切りの日です。この時、休暇中に業務をサポートしてくれた上司や同僚への感謝の気持ちをきちんと伝えることが、円満な人間関係を保ち、スムーズに日常業務へ戻るための重要なマナーとなります。まず、出社したら一番に直属の上司の元へ挨拶に伺います。そこで、「〇日間のお休みをいただき、ありがとうございました。皆様のおかげで、滞りなく〇〇(故人との続柄)を見送ることができました。本日よりまた、よろしくお願いいたします」といったように、休暇をいただいたことへの感謝と、無事に葬儀を終えたことの報告、そして仕事への復帰の意思を伝えます。この時、葬儀の様子などを長々と話す必要はありません。相手から尋ねられた場合に、簡潔に答える程度に留めるのがスマートです。上司への挨拶が終わったら、次に部署の同僚や、自分の業務を直接的にカバーしてくれた方々の元へ向かいます。一人ひとりに対して、「不在の間、ご迷惑をおかけしました。サポートしていただき、本当に助かりました。ありがとうございます」と、個別に感謝の言葉を述べましょう。全体の朝礼など、全員の前で挨拶をする機会があれば、そこでも改めて感謝の意を表明すると、より丁寧な印象を与えます。この時、菓子折りなどの「お礼の品」を用意すべきか悩む方も多いでしょう。これは義務ではありませんが、感謝の気持ちを形として表すために持参する方が一般的です。品物としては、皆で分けやすいように個包装になっているクッキーや煎餅などが適しています。高価なものである必要はなく、3,000円〜5,000円程度のものが相場です。のし紙をかける場合は、黒白や黄白の結び切りで、表書きは「志」や「御礼」とします。大切なのは、物そのものよりも「感謝を伝えたい」という気持ちです。休暇明けの少し気まずい空気を和らげ、温かく迎え入れてくれた職場への恩返しとして、誠実な態度で感謝を表現しましょう。